微分方程式 · 相図

相図

相図は微分方程式系の各解を、その変数の平面上の曲線として描きます。線形系x′ = Axでは、Aのトレースと行列式から固有値が決まり、2つが重ならない限り、固有値が図の種類を決めます。

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相図は微分方程式系の解を、各初期点を通る曲線として変数の平面に描きます。このページでは2×22 \times 2行列AAによる線形系x′=Axx' = Axを示します。トレース–行列式図の点(τ,Δ)(\tau, \Delta)を動かすと、図は鞍点、結節点、渦状点、中心へと変化し、隣の固有値平面には各図を決める2つの固有値が表示されます。

方程式系、トレース、行列式
(xy)′=(abcd)(xy),τ=a+d,Δ=ad−bc\begin{pmatrix} x \\ y \end{pmatrix}' = \begin{pmatrix} a & b \\ c & d \end{pmatrix} \begin{pmatrix} x \\ y \end{pmatrix}, \qquad \tau = a + d, \quad \Delta = ad - bc

どの曲線も方向場に沿って進みます。矢印の長さはすべて同じで、方向だけを示します。速さは等時間間隔の目印に表れ、動きが遅い場所ほど目印が密になります。原点を通る直線に沿って進む解もあります。Av=λvAv = \lambda vなら、x(t)=eλtvx(t) = e^{\lambda t} vは解です。その導関数λeλtv\lambda e^{\lambda t} vが、解にAAを作用させた結果とちょうど等しいからです。つまり直線はAAの固有方向で、λ\lambdaは各方向の増加率です。λ>0\lambda > 0なら外向き、λ<0\lambda < 0なら内向きに進み、λ=0\lambda = 0なら動きません。

固有値はλ2−τλ+Δ=0\lambda^2 - \tau\lambda + \Delta = 0を満たすので、τ\tauは和、Δ\Deltaは積、τ2−4Δ\tau^2 - 4\Deltaは判別式です。図の境界はそれぞれ、固有値平面での変化に対応します。Δ=0\Delta = 0より下では固有値の符号が逆で、図は鞍点になります。その線上では一方の固有値が0となり、直線全体の点が静止します。放物線τ2=4Δ\tau^2 = 4\Delta上では2つの固有値が重なり、その上では共役な複素数の組になります。Δ>0\Delta > 0のとき、τ\tauの符号が減衰と増大を分け、τ=0\tau = 0上では固有値の組が虚軸上にあります。したがってτ\tauとΔ\Deltaが固有値と図の種類を決めます。ただし重複固有値の場合は、AAが単位行列の倍数かどうかにも種類が依存します。

複素固有値α±βi\alpha \pm \beta iでβ>0\beta > 0のとき、零解以外の解はすべて時間2π/β2\pi/\betaで原点を1周し、その間にe2πα/βe^{2\pi\alpha/\beta}倍に拡大・縮小されます。このため1周離れた目印は原点から伸びる同じ半直線上に並び、毎回同じ倍率で変化します。α=0\alpha = 0なら倍率は1となり、零解以外の軌道はすべて楕円として閉じます。これが中心です。Δ=1\Delta = 1かつA=(01−1τ)A = \begin{pmatrix} 0 & 1 \\ -1 & \tau \end{pmatrix}では、この系はζ=−τ/2\zeta = -\tau/2とする減衰振動系x′′+2ζx′+x=0x'' + 2\zeta x' + x = 0になります。

放物線を横切ると、2本の直線ははさみが閉じるように1本に重なり、その後消えて、図はらせんになります。頂点を除けば、放物線上の典型的な行列にはその1本だけがあり、ほかの解はすべてその直線に接しながら原点に近づくか離れます。(τ,Δ)=(−2,1)(\tau, \Delta) = (-2, 1)では、行列−I-Iは同じ固有値をもちますが、どの方向にも直線解があります。基底変換A↦PAP−1A \mapsto PAP^{-1}は図の形を変えても、τ\tau、Δ\Delta、固有値と種類を保ちます。単位行列の倍数は変わりません。

注目する点

  • 結節点の2本の直線解は、普通は垂直ではありません。その2本の直線上にない解は、原点付近では遅い方に沿って出入りし、遠くでは速い方へと曲がります。
  • 青い曲線は初期点を通る解全体です。黄色い経路は初期点を置いてからの区間なので、AAを変えると新しい解を示し、以前の解の履歴にはなりません。

操作

  • 相平面の空いている場所を押すと初期点を追加できます。直線解の近くでは、その直線上に吸着します。

関連項目

さらに読む: ウィキペディア: Phase portrait (英語).