この可視化で見る固有ベクトル
2 × 2行列は平面の線形変換であり、ベクトルを元の直線から外れた方向へ移すことがあります。固有ベクトルはそうならないベクトルで、Av = λvを満たします。固有値λは、vがどれだけ伸び縮みするか、向きが逆になるかを表します。固有ベクトルをゼロでない数で倍しても、同じλをもつ固有ベクトルになります。つまり、大事なのは直線です。
図ではすべての方向を同時に追います。破線の円が単位円、楕円がAによるその像で、円周上の短い針はその点がAで移る方向を指します。初期行列で赤いベクトルvを回し、黄色い矢印Avを見てください。Avはvの直線の片側に傾き、やがて反対側に傾きます。Avがvに沿うのは青い直線上だけです。これが固有直線で、それぞれにλが表示されています。
なぜ固有値はdet(A − λI)の根なのでしょうか。Av = λvを(A − λI)v = 0と書き換えます。ゼロでないvがこれを満たすには、A − λIが平面を押しつぶし、直線全体を原点に移す必要があります。それが起きるのは、行列式が0のときに限られます。A − λIのウィンドウにはp(λ) = det(A − λI)の曲線が描かれます。λを根までドラッグすると、単位正方形の像が直線につぶれ、A = λIの場合は原点につぶれます。原点に移るゼロでないベクトルが、そのλに対する固有ベクトルです。
一次独立な2本の固有ベクトルe₁とe₂は基底を作ります。この基底ではAはe₁方向をλ₁倍、e₂方向をλ₂倍するだけなので、この座標で表した行列は対角行列になります。固有基底はこの基底の1つのセルとその像を描きます。頂点のラベルはx、yではなく、e₁、e₂を何個ずつ使うかで表します。すべての行列がこのような基底をもつわけではありません。p(λ)は2次式で、すべての方向を回す90°回転のように実数の根をもたない場合もあります。また、1本の直線だけを保つせん断のように、重根をもつ場合もあります。
繰り返し適用ではvにAを繰り返しかけ、v、Av、A²v…の方向を印で示します。固有値が実数で絶対値が異なるとき、vの2つの固有方向の成分は毎ステップそれぞれの固有値倍されるため、固有値の絶対値が大きい成分が優勢になります。最初からもう一方の直線上にある場合を除き、方向はその成分の直線に近づきます。この方法で固有ベクトルを求めるのがべき乗法です。固有値が1と−1の入れ替えでは、どちらの直線上にもないベクトルは、2つの方向をいつまでも行き来します。
注目する点
- 読数にある射影v·Avだけでは、vが固有ベクトルかどうかは分かりません。Avがvの実数倍になるのは固有直線上だけで、ページにAv = λvと表示されるのもそのときだけです。
- 実行中の点が円周上に並ぶのは、方向だけを描いているからです。ベクトル自体は伸び縮みし、実行中のステータス行には各ステップの長さの倍率が表示されます。
- λが根でA ≠ λIのとき、黄色い破線はA − λIによって平面が移る先です。そのλ自身の固有直線、つまり原点に移る直線は太い青線です。重根の場合、この2本は同じ直線になることがあります。
操作
- vと列ベクトルの先端が重なる場所では、最初に押すとvをつかみます。ドラッグせずに1回クリックすると、次に押したときはもう一方をつかみます。
- A − λIのウィンドウでは、軸上の好きな場所を押すとλがそこに移ります。λは根と整数の位置に吸着します。