この図で見る内積
零ベクトルでない2つのベクトルとの内積には、2通りの定義がある。一方は対応する座標どうしを掛けて足す。もう一方は2つの長さとなす角θの余弦を掛け、座標を一切使わない。ここでは2つのベクトルを固定したまま座標軸を回せる。軸が互いに垂直で単位の長さが同じなら、2つの定義が常に一致する理由が見えてくる。
ベクトルは画面上の位置を保ち、座標軸だけが回る。軸を角度φだけ回すと各ベクトルの座標が変わり、やのようにプライム記号を付けて表す。平面の下の和のバーは、2つの項とを端から端へつないでいる。座標軸を回すと両方の項が変わるが、バーの終点は動かない。初期設定のとでは和はとなる。135°回すと各項は−1と6になるが、和はやはり5だ。
新しい座標で積を展開すると、その理由が分かる。2つの積の交差項は、一方では正、もう一方では負の符号で現れて打ち消し合う。残りの項はを使ってまとめられる。2つの項の展開では、現在の数値を使ってこの様子を描く。
座標軸をどう回しても和は同じなので、最も簡単な向き、つまりx軸をaに合わせよう。するととなり、第2項は0になる。bの第1座標はで、bがaの向きにどれだけ届くかを符号付きで表す。これがbのaへの符号付き射影長だ。したがってとなる。幾何学的な公式は、aの向きに合わせた座標軸で座標の公式を読んだものなのだ。bの向きに合わせれば、|b|とaのbへの符号付き射影長の積になる。
長さは正なので、内積の符号はの符号と同じになる。鋭角なら正、直角なら0、鈍角なら負となり、鈍角のときbの射影はaと逆向きになる。零ベクトルでない2つのベクトルが垂直であることと、内積が0であることは同値だ。(3, 1)と(−1, 3)がその例になる。逆に、この公式を使えば座標からなす角を求められる。
等値線は別の問いに答える。a ≠ 0を固定したとき、どのベクトルxがを満たすだろう。そのようなxはすべて、aへの符号付き射影長がで等しいため、aに垂直な1本の直線をなす。cの値が1違う直線どうしの間隔はなので、aが長いほど間隔は狭くなる。a = (3, 1)のとき、b = (1, 2)を通る直線はで、(0, 5)と(2, −1)もその上にある。これはaを法線ベクトルとする、直線の法線形式だ。
注目する点
- ベクトルとそれ自身の内積はとなる。この場合、座標の公式は三平方の定理そのものであり、互いに垂直で単位の長さが同じ座標軸が必要な理由も分かる。
- bを等値線に沿ってドラッグすると、どれだけ遠くへ動いても、なす角がどう変わっても内積は変わらない。aへの符号付き射影長が一定だからだ。
操作
- x軸の端の輪をドラッグすると座標軸が回転する。aやbの向き、および直角の位置ではぴたりと止まる。