直交射影は、与えられたベクトルに最も近い点を部分空間の中から見つけます。ここでは、部分空間Sは原点Oを通る平面または直線で、ベクトルはbです。その射影pはS内にあり、誤差e=b−pはSに直交します。bを動かしたりSを変えたり、pとS内の別の点を比べたりできます。また、bの2本の軸への影を足すとpになるのはどんなときか、確かめられます。
なぜ直角になる点が最も近いのでしょうか。S内の別の点qを取ります。qからpへの線分はS内にあるので、eに垂直です。b、p、qの3点はpに直角がある直角三角形を作り、三平方の定理から次が得られます。
Sのほかの点はすべて遠い∣b−q∣2=∣e∣2+∣p−q∣2 したがって、qがpそのものでない限り、bからqまでの距離はpまでの距離より長くなります。逆も成り立ちます。もしeがS内のある方向へ傾いていれば、pをその方向に少し動かすことでbに近づけられるからです。よって平面では、eがuとwの両方に垂直になる点が最も近い点です。直線では、uに垂直であれば十分です。
pを求めるには、この直角の条件を解きます。直線上ではpはuの定数倍であり、条件e⋅u=0によってその倍率が決まります。
直線への射影p=u⋅uu⋅bu 平面ではp=c1u+c2wと表します。2つの条件e⋅u=0とe⋅w=0は、c1とc2についての2つの一次方程式になり、正規方程式と呼ばれます。
正規方程式(u⋅u)c1+(u⋅w)c2=u⋅b,(w⋅u)c1+(w⋅w)c2=w⋅b 数値欄には、pが座標と、uおよびwの線形結合の両方で表示されます。同じ平面内でuとwをドラッグすると、係数は変わってもpは変わりません。射影は部分空間だけで決まり、それを表すベクトルの選び方には依存しません。
uとwが直交すると、2つの方程式は独立になります。各係数は片方の軸だけで決まり、pはbの2本の軸への影の和になります。
軸が直交するときだけp=u⋅ub⋅uu+w⋅wb⋅ww 斜交する軸では、この近道は通常うまくいきません。各々の影はもう一方の軸がないものとして求めるため、その和sは通常pとは別の点になります。このとき、数値欄ではb−sが少なくとも片方の直角条件を満たしていないことがわかります。wをuに垂直にするは、wをuに垂直な成分で置き換えます。これはグラム–シュミットの正規直交化法の1段階です。平面は同じままですが、2本の軸が直交するので、どんなbでも影の和がpになります。
(1,1,1)を通る対角線は、身近な例です。bをこの直線に射影すると、bの各成分が全成分の平均に置き換わり、∣e∣2はその平均からの偏差の二乗和になります。最小二乗回帰も同じ種類の射影を使います。