この可視化での勾配
関数の勾配はまたはと書き、偏微分を成分とするベクトルです。が微分可能でのとき、が最も速く増える方向を指し、長さはその最大の変化率を表します。このページでは六つの曲面で、選んだ方向のの変化率である方向微分とともに示します。
透明な曲面はのグラフで、床には等高線地図があります。青い点Pはの真上の曲面上にあります。赤い矢印uは水平な単位ベクトルで、正の軸から反時計回りに角度を測ります。uに沿って水平に1進んだときの接平面の上昇量が黄色い線分、つまり方向微分です。
方向微分は、方向を単位ベクトルで表してとも書きます。ここでは正の軸から反時計回りにを測るので、、です。青い輪は、Pの周りの単位円を接平面に持ち上げたものです。最高点は勾配の方向にあり、Pより高くなります。これは次の式によります。
はuとの間の角度です。傾きは勾配の方向で最大、Pを通る等高線に沿う方向で0、勾配の逆方向で最も小さくなります。
注目する点
- 勾配はPを通る等高線と直交します。を等間隔に取った等高線は、が大きい場所で密になります。
- uを一周させると、地図上の点は、とを直径の両端とする円を描きます。では円が一点に縮みます。
- 最急上昇の方向は、必ずしも山頂を指しません。引き伸ばした山では二つの方向が異なります。
- 偏微分は方向微分の一種です。で、でになります。
- となる臨界点では、すべての方向の傾きが0で、最急上昇の方向はありません。鞍点は、臨界点のうち極大でも極小でもない点です。
- 黄色い上昇量は接平面上のもので、一次近似です。u方向の短い水平移動に対して、曲面自体の高さはだけ変わります。が小さいほどよく一致します。
応用
- 機械学習モデルの学習に使う基本的な方法である勾配降下法は、勾配と逆方向に小さな一歩を繰り返して関数の値を下げます。なら十分小さな一歩で値は下がりますが、最も低い点に着くとは限らず、局所的な最小値に落ち着いたり、鞍点の近くで進みが遅くなったりします。
- 勾配は等高線に直交するため、その法線方向を与えます。滑らかなが曲線上で最大または最小になるとき、なら二つの勾配は平行でです。これがラグランジュの未定乗数法の考え方です。
- 物理学では、保存力は位置エネルギーの勾配に負号を付けたです。エネルギーが最も速く下がる方向へ押す力になります。
操作方法
- 曲面上のPや地図上の足元、赤い矢印の先をドラッグできます。主な点や方向(、、、)を選ぶと厳密な値に移動します。主な点として選ぶ臨界点ではが厳密に0です。
- 一周ではuを一回転させ、最急上昇方向で止めます。真上から見ると地図上の角度を正しく確認できます。プレゼンモードではプロジェクター向けに全画面表示します(スペースキーで一周、← →でuを回転、Hで答えを非表示)。