微積分 · 線形近似

線形近似

点 a での関数 f の線形近似は、接線 L(x) = f(a) + f′(a)(x − a) です。f が微分可能なら、誤差 f(x) − L(x) は x − a より速く小さくなるため、拡大すると曲線が直線に見えてきます。

01

この図で見る線形近似

点 aa での関数 ff の線形近似は、接線 L(x)=f(a)+f′(a)(x−a)L(x) = f(a) + f'(a)(x - a) です。接線による近似、局所線形化とも呼ばれ、ff が aa で微分可能なときに存在します。aa を x0x_0 と書いて f(x0+Δx)≈f(x0)+f′(x0) Δxf(x_0 + \Delta x) \approx f(x_0) + f'(x_0)\,\Delta x と表すこともあります。このページでは滑らかな4関数と、0で微分できない3関数、計7関数を示します。

グラフは青い点 P =(a,f(a))= (a, f(a)) を横方向の中心とし、両軸の尺度をそろえています。赤い刻み Δx は拡大率も決めます。刻みに合わせて表示範囲を縮め、P、接線の縦の変化量、Q が見えるよう必要に応じて広げます。この刻みで接線は青い微分 dy=f′(a) Δxdy = f'(a)\,\Delta x だけ上がり、曲線は Δy=f(a+Δx)−f(a)\Delta y = f(a + \Delta x) - f(a) だけ上がります。黄色い矢印が誤差です。

線形近似の誤差
E=Δy−dy=f(a+Δx)−f(a)−f′(a) Δx.E = \Delta y - dy = f(a + \Delta x) - f(a) - f'(a)\,\Delta x.

関数が aa で微分可能であることは、f(a+h)−f(a)−mh=o(∣h∣)f(a + h) - f(a) - m h = o(|h|) を満たす有限の数 mm があることと同値です。つまり誤差を hh で割ると、両側から h→0h \to 0 としたとき0に近づき、そのとき m=f′(a)m = f'(a) です。このページは右向きの刻み(h=Δx>0h = \Delta x > 0)だけを描くため、図は説明であって証明ではありません。接線の有無は各関数の式から判定します。Δx\Delta x とともに表示範囲も縮むので、∣E∣/Δx|E|/\Delta x は Q で曲線が直線から離れる度合いを表示範囲に対しておおよそ表します。これが、微分可能な曲線を拡大するほど直線に見える理由です。f′′(a)≠0f''(a) \ne 0 なら、小さい Δx\Delta x に対して E≈12f′′(a) Δx2E \approx \tfrac12 f''(a)\,\Delta x^2 なので、Δx\Delta x が十分小さくなると10倍の拡大ごとに誤差は約100分の1になります。0での sin⁡x\sin x のように f′′(a)=0f''(a) = 0 なら、さらに速く縮みます。

02

読み違えやすいところ

  • 「直線に見える」は図の印象であって証明ではありません。試したすべての倍率で直線に見えても、さらに小さな尺度では曲がっている可能性があります。このページの接線の有無の判定は、画面ではなく各関数の式に基づきます。
  • 0での ∣x∣|x| のような角点は、どの倍率でも同じV字になります。1本の直線が合わないため、線形近似はありません。左右の傾きは −1 と1です。
  • 0での x3\sqrt[3]{x} は直線に近づきますが、それは鉛直な x=0x = 0 です。鉛直線には傾きが定義されないため、y≈L(x)y \approx L(x) の形の近似はありません。x2/3x^{2/3} の尖点では両側が真上を向きます。
  • 近似は局所的なものです。刻みを固定すると精度が悪い場合があります。Δx=1\Delta x = 1 では、0で exe^x に接する直線は2を与え、実際の2.718とは異なります。
03

用途

  • 手計算での見積もり:4.1≈2+0.1/4=2.025\sqrt{4.1} \approx 2 + 0.1/4 = 2.025(真の値は約2.02485)や、単振り子などの小さな角度に対する sin⁡θ≈θ\sin\theta \approx \theta。
  • ニュートン法は L(x)=0L(x) = 0 を繰り返し解いて ff の零点を求めます。測定では微分 dydy が、xx の誤差が yy にどう伝わるかを見積もります。
04

操作方法

  • グラフを横にドラッグすると P の下を曲線が動き、a が変わります。グラフにフォーカスを合わせてスクロールするかピンチすると拡大縮小し、Δx が変わります。拡大するは1段階ごとに Δx を10分の1にします。全体図は曲線全体の中での表示位置を示し、その中を押すかドラッグすると P がそこへ動きます。
  • プレゼンテーションモードではプロジェクター向けの全画面表示になります(スペースで拡大、← → で Δx を10倍ずつ変更、H で答えを非表示)。
05

関連項目