この図で見る検出力
検出力とは、ある特定の対立仮説が真のときに、検定が帰無仮説を棄却する確率です。ここでは、機械が平均 gずつ袋に詰めるという仮説です。各袋の重量は独立で、 gの正規分布に従います。1回の調査で袋を量り、平均が臨界値を越えたら、有意水準でを棄却します。真の平均がのときの検出力は、真の曲線のうち臨界値を越えた部分の面積です。残りのは差を見逃す確率、つまり第2種の過誤の確率です。では見逃す差がなく、検出力はそのものになります。
検出力は何で決まるのでしょうか。の検定で不足量がなら、検出力はです。差が大きいほど、袋数が多いほど高くなります。を厳しくすると臨界値が500から遠ざかり、検出力は下がります。はの形でしか効かないので、同じ検出力に必要な袋数はに比例して増えます。方向も同じくらい重要です。実際には機械が多く詰めている場合、の検定の検出力は0に近づき、袋数を増やすほどさらに下がります。両側検定はを両方の裾に分けるので、どちら側の差も検出できますが、片側検定が見る側では、その片側検定より検出力が低くなります。
有意でない結果が「差がない」ことを示さないのはなぜでしょうか。検出力が低い検定は、実際の差を見逃すことが多いからです。25袋、の片側検定で2 gの不足を検出する確率は約4分の1にすぎず、ほとんどの調査は有意になりません。有意でない結果をどう受け止めるかは、見つける価値のある差に対する検出力によります。それはデータを見る前に計算します。重要な最小の差を決め、十分な検出力、よく使われる目安なら80%を得られるを選びます。
検出力が低いと、有意な推定値は平均して差を過大評価するのはなぜでしょうか。実際に充填量が不足している機械について、不足を調べる検定を考えます。平均がたまたま500よりかなり低くなった調査だけが臨界値を越えるため、有意な調査は選ばれた一群です。その平均推定値は真の曲線の臨界値を越えた部分の平均で、実際より大きな不足量に対応します。臨界値自体が下限を設けています。25袋、では、実際の不足量によらず、約3.29 gを超える不足と推定しないと有意になりません。とを固定すると、真の不足量が小さいほど検出力が低くなり、有意な推定値が平均して何倍に過大評価するかも大きくなります。これがM型(大きさ)の誤りです。両側検定では有意なのに方向まで逆の結果もあり、S型(符号)の誤りと呼ばれます。有意な結果だけを報告する研究の蓄積には、この偏りが含まれます。
注目するところ
- 上段の2つの曲線は、どのでも同じ高さで描かれます。色の付いた面積は、それぞれの曲線全体に対する割合として読んでください。ばらつきの減少を示すのは高さではなく幅の縮まりです。
- 検出力は、機械の充填量が不足している確率ではありません。真の平均がページで設定しただと仮定して計算します:。
操作方法
- 青い曲線やハンドルをドラッグして真の平均を動かすか、下段を押してその位置へ移します。臨界値の四角いハンドルをドラッグするとを設定できます。
- 「検出力80%」の行は、現在の平均、、方向で検出力が初めて80%に達する標本サイズにを設定します。
関連項目
さらに読む: ウィキペディア: Power (statistics) (英語); Andrew Gelman and John Carlin, “Beyond Power Calculations: Assessing Type S (Sign) and Type M (Magnitude) Errors”, Perspectives on Psychological Science (2014) (英語); John M. Hoenig and Dennis M. Heisey, “The Abuse of Power: The Pervasive Fallacy of Power Calculations for Data Analysis”, The American Statistician (2001) (英語).